はじめに

アイゼンハワーマトリックスの説明

アイゼンハワーマトリクスは、タスクを整理し、どれを優先すべきかを知らせるようなシンプルでわかりやすいツールです。アイゼンハワーマトリクスは、 アメリカ元大統領ドワイト・D・アイゼンハワーが1954年に行った演説で、自分の問題を緊急と重要の2つのタイプに分けられると述べたことにちなんで、彼の名前で名づけられました。

このシステムは、職業的な場面でも個人的な場面でもとても効果的です。各タスクは重要度と緊急度に応じてランク付けされ、マトリックスで対応するエリアに配置されます。大規模な企業プロジェクトの陣頭指揮を執っている場合でも、日々の雑務をこなそうとしている場合でも、アイゼンハワーマトリックスのテンプレートは重宝するでしょう。

アイゼンハワーマトリックスの重要性

忙しい毎日を送っていると、やるべきことのリストに振り回されることがよくあります。そのリストは、すでにどれだけのことをやり終えているかにかかわらず、短くなるどころか長くなっているように見えることも多いです。アイゼンハワーマトリックスを使えば、タスクを簡単に分類できるので、より多くのことを達成し、時間を上手に管理できるようになります。

アイゼンハワーマトリックスの使用と実施の基本原則

どのようなアイゼンハワーマトリクスのテンプレートを使うにせよ、タスクを整理してマトリックスに組み入れる際に常に考慮すべき6つの基本原則があります。

  • 緊急のカテゴリーに入るタスクは、すぐに完了させなければならない。先送りしないようにする。
  • 重要なタスクは、緊急か否かにかかわらず、あなたやあなたの組織にかなりの影響を与えるため、しっかりとこなさなければならない。
  • 緊急かつ重要なタスクは、他の誰でもなく、あなたが完了させなければならない。
  • 緊急だが重要でないタスクは他の人に任せ、自分は緊急かつ重要なタスクに取り組む。
  • 重要だが緊急でないタスクは、慎重かつ徹底的に計画し、実行しなければならない。可能な限り最高の結果が得られるよう、時間をかけて確実に実行すべきである。
  • 重要でも緊急でもないタスクは、あなたや組織にあまり影響を与えないため、後回しにしても構わない。

 アイゼンハワーマトリックスの使い方

アイゼンハワーマトリックスのテンプレートは、緊急度と重要度に従ってタスクを4つの象限に分けます。このシステムを使うには、まず自分のタスクをすべて羅列することから始めなければなりません。1つずつ確認し、どの象限に属するかを判断します。

アイゼンハワーマトリックスのの四つの象限

象限1:重要かつ緊急なタスク

緊急の締切りがあり、プロジェクトの他の部分に大きな影響を与えるタスクは、この象限に属します。つまり、短期的ではあるが、すぐ集中的に取り組むべき重要なタスクです。

象限2:重要だが緊急ではないタスク

この象限には、必ずしもすぐに実行する必要はないが、綿密な計画が必要なタスクが含まれます。タスクの性質によっては、自分ひとりで行うこともできるし、組織の他のメンバーの助けを借りることもできます。

象限3:緊急だが重要ではないタスク

緊急性が高いので、これらの仕事はすぐに完了させる必要があります。しかし重要ではないので、必ずしも自分の時間を費やす必要はありません。その代わり、この象限のタスクはチームの他のメンバーに任せることができますが、できるだけ早くタスクを終わらせるようにしてください。

象限4:緊急でも重要でもないタスク

どんなプロジェクトでも、重要でも緊急でもないのにToDoリストの一部になっているタスクが必ずあります。アイゼンハワーマトリクスを使えば、こうしたタスクを簡単に特定することができ、そのために時間と労力を費やす必要がなくなります。これらのタスクは、他のタスクがすべて完了してから取り組むべきです。

タスクの優先順位付けで効率を最大化する

マスターリストの各タスクを適切な象限に振り分けたら、優先順位は自然に決まります。象限1と象限2のタスクは緊急度が高いため、最優先事項になります。象限3は、最も早く取り組む必要があるため、時間配分の優先順位が最も高いです。象限4は、すべての面でも優先順位が最も低いです。

アイゼンハワーマトリックスの個人的場面や職業的場面での活用例

あるプロジェクトマネージャーのアイゼンハワーマトリックスの使用例

あるプロジェクトマネージャーのアイゼンハワーマトリックスの使用例

出処:analytixminds

プロジェクトマネージャーは、同じく重要なタスクを同時に複数抱えることがよくあります。上記のマトリクスを使えば、どのタスクを最初にやるべきか、どれを人に任せるべきか、どれを後日に回すべきか、どれをToDoリストから削除すべきかを簡単に特定することができます。

アイゼンハワーマトリックスの在宅勤務の例

アイゼンハワーマトリックスの在宅勤務の例

出処:habitsbuzz

完璧なワークライフバランスを実現することは、在宅でリモートワークをする人にとって大きな課題です。一般的に、個人と仕事のタスクを1つのアイゼンハワーマトリックスにまとめるのは勧めませんが、リモートワーカーはその例外です。この場合、マトリックスを通してタスクに優先順位をつけることで、仕事でも個人でも、より多くの仕事をこなすことができます。

 アイゼンハワーマトリックスを使うメリット

アイゼンハワーマトリックスのテンプレートが、タスクに振り回されがちな人や、締切りを守るのが難しいと感じている人の助けになります。具体的なメリットをいくつか挙げます。

生産性を高める

この方法は、優先順位の低い他の多くのタスクに気を取られることなく、一度に1つのタスクに集中し、最も重要で緊急性の高いものから始まることを促します。それは最終的に生産性と仕事の効率を向上させます。

ストレスと不安の軽減

アイゼンハワーマトリックスのテンプレートはタスクの分類を効果的に整理し、シンプルな視覚化を可能にします。それと比べて、ToDoリストではただでさえ多忙なスケジュールにストレスを加えるだけです。

時間管理の向上

アイゼンハワーマトリックスのテンプレートは、効率的なスケジュール管理と業務の適切な配分を促進し、最終的に時間管理の改善につながります。

優先順位の高いタスクへ集中させる

アイゼンハワーマトリックスのテンプレートを使わないと、手が届きそうな、あるいは達成しやすそうな、それほど重要でないタスクに気を取られてしまいがちです。しかし、マトリックスに従えば、あなたやあなたの会社に大きな影響を与える、より重要な仕事に集中することができます。

アイゼンハワーマトリックスを使うデメリット

多くの利点があるにもかかわらず、アイゼンハワーマトリックスが悪影響を与える場合もいくつかあります。ここでは、その欠点についても述べていきます。

タスクの優先順位付けを単純化しすぎた可能性

アイゼンハワーマトリックスを使って自分のタスクを分類すれば、すべてが白黒はっきり切り分けられ、絶対的なものになってしまいます。しかし、現実の生活では必ずしもそう単純に対処できません。ある緊急かつ重要なタスクが、緊急でないと判断された別のタスクに依存している場合も考慮に入れるべきです。

タスクの重要度や緊急度を判断する難しさ

多くの場合、どのタスクが他のタスクよりも緊急か重要かを判断するだけでも、分類要素がたくさん重複しているかもしれません。見かけ以上に重要なタスクを、アイゼンハワーマトリックスのテンプレートの優先順位の低い象限に誤って入れてしまうこともあります。

創造性と思考の柔軟性に対する可能な制限

マトリックスでは、別々の箱の中にタスクを入れるように分類することが求められています。これは、型にはまらない考え方をする実践と矛盾しており、その実践はより実りある全体的な結果をもたらします。

アイゼンハワーマトリックスの代替案

アイゼンハワーの方式が効率性と革新性をもたらすことについては疑問の余地はありません。しかし、アイゼンハワーが特定の状況に適していない場合、いくつかの代替案を採用することができます。

コヴィー式マトリクス

コヴィー式マトリクスの基本原則は、アイゼンハワー方式とよく似ています。しかし、最大の違いは、コヴィー式マトリクスの焦点が、各象限にあるタスクに割り当てられる時間の量にあることです。

したがって、緊急かつ重要なタスクが含まれる第一象限は、すぐにやらなければならないが、時間をあまりかけてはいけません。緊急で重要でないタスクがある象限も、すぐにやらなければならないが、あまり重要ではないので、自分ではやる必要がありません。重要だが緊急でない仕事は、綿密な計画が必要なため、最も多くの時間を割かなければなりません。緊急でも重要でもない仕事には、時間を割くとしても最低限にとどめるべきです。

ABCDEメソッド

アイゼンハワーマトリクスでは、どのタスクが他のタスクよりも重要かを判断することが難しいと先に述べました。このような場合に、ブライアン・トレーシーによる「ABCDEメソッド」を使うことができます。

この方法では、まずタスクのリストを一目通して、主要なタスクをAからEまでの優先順位で評価します。これらの主要タスクにはそれぞれサブタスクがあり、番号でそれをランク付けします。各タスクに番号または英文字が割り当てられるまで、タスクのリストを検討し続けます。

個人向けタスク管理システム

外出が多い人や、忙しくて従来のアイゼンハワーマトリクスのテンプレートを使えない人のために、今ではオンラインでダウンロードできる個人用のタスク管理システムがたくさん整備されています。無料のものもあれば有料のものもあります。そのほとんどはモバイルでも利用できるため、どこにいてもToDoリストにアクセスできます。