オブジェクト図は、システムの要件を表し、理解するために欠かせないものです。しかし、オブジェクト図とはいっても、どのようにして作成したらいいのかわからない人も多いでしょう。
本記事では、オブジェクト図の書き方と作成手順を紹介します。参考にして、オブジェクト図を作成できるようにしましょう。
1. オブジェクト図とは
オブジェクト図とは、ソフトウェアなどに用いられるUMLで規定された図の一つで、オブジェクト間の関係性を示した図のことです。
オブジェクトは長方形で示され、内部にはオブジェクト名を記入します。オブジェクト名には下線を引き、クラスの所属があれば「:」に続けてクラス名を記入します。オブジェクトが何かしらの属性や状態を持っている場合には、長方形を上下に区切り、下側に「属性名=属性値」の形で列挙しましょう。
オブジェクト図は、業務やシステムの状況を理解したりすることができます。また、クラス図を作成するために用いられたり、定義されたクラスが適切かどうかを検証するために用いられることが多いです。
2. オブジェクト図とクラス図の違い
オブジェクト図は、先ほど紹介した通り、オブジェクト間の関係性を示した図になります。
一方、クラス図は、業務やシステムに登場する概念のことであるクラスの関係性を表す図のことです。システムの理解を助けるために書かれることが多く、各クラスが持っている属性や操作も表記します。
クラス同士の関係として、関連、集約、コンポジション、汎化などがあり、クラス同士を結ぶ線の箸の形状によって異なります。クラス図に登場するクラスは、システムを大きく俯瞰したときの概念的なプログラムの時もあれば、プログラミング言語の「クラス」の時もあり、幅広く使われている図です。
簡単にいうと、クラス図はシステムを理解するためのより単純化した図で、オブジェクト図はクラス図よりも複雑で、より複雑なシステムの理解が可能な図です。
3. オブジェクト図の書き方
ここでは、具体的なオブジェクト図の書き方を紹介します。
今回は例として、以下で紹介する「boadmix」というツールを使用して、オブジェクト名を「人」、属性名を「名前、生年月日、血液型」として説明していきます。
- まずは、上の図のように挿入する図形を選択します。boardmixにはデフォルトでUML用の図形が用意されているため、簡単です。
- 次に、挿入した図形の内側を選択するとテキストが打ち込めるようになっているので、上の段にオブジェクト名、下の段に属性名を入力します。
- 全てのオブジェクトを書き出したら、次はオブジェクト間の関係性を矢印で繋ぎ、関係性を表す作業です。
そうすると以下の図のようになります。
オブジェクト間の関係性を表す矢印は、図形からも挿入できますが、上の図の赤丸で示した「+」のボタンを押すと簡単にオブジェクト同士をつなぐことができます。
最後に、オブジェクト間の関係性をテキストで表して完成です。このように、ツールを使って作成するとより簡単に、スピーディーになります。
4. オブジェクト図作成オススメツール5選
オブジェクト図は、手書きでも作成可能ですが、デザインツールなどを使用することで、時間短縮が可能です。
では、オブジェクト図が作成可能なツールはどのようなものがあるのでしょうか?ここでは、オブジェクト図作成のオススメツールを5つ紹介します。参考にして、自分に合ったツールを見つけてください。
4.1 EdrawMax
EdrawMaxは、UML図の作成ツールであるうえに、さまざまな業界に必要な図などを作成できるオールインワンのソフトウェアです。
EdrawMaxを使えば、会社の名刺、パンフレット、チラシなども作成可能です。また、複雑な設計図やフローチャート、マインドマップ、UML図、組織図、ガントチャートなどもグラフィカルに作成することができます。
EdrawMaxの特徴は以下になります。
- さまざまな業界の作成ニーズに対応したオールインワンソフトウェア
- Windows、MacOS、Linuxで動作可能なクロスプラットフォームソフトウェア
- 作成した図は、画像としてさまざまなファイル形式でエクスポート可能
- MS officeに似たインターフェースで、操作が容易
4.2 yUML
yUMLは、シンプルでありながらも説得力のあるUML図を作成可能です。
あらゆるシナリオのユースケースを表すことができます。また、プロジェクト全体をローカルサーバーでホストすることができるため、サーバー自体に全ての個人データを保存することが可能です。
yUMLの特徴は以下になります。
- どこでもアクセス可能なオンライン作図ツール
- 自身のサーバーで、独自のホスティングで実行が可能
- コードでUML図を書ける
4.3 Visual Paradigm
Visual Paradigmは主に、ユースケースとそれに関するUML図の作成に使われています。
Visual Paradigmを使用すると、シーケンスを分析する際に、どのオブジェクトがどのイベントに関連しているか、またオブジェクトとイベントの関係性を理解することが可能です。そしてイベント間の相互接続の確認もできます。
Visual Paradigmの特徴は以下になります。
- 信頼性が高く、速度が速い
- 使いやすいインターフェース
- ドラッグ&ドロップ機能が使用可能
4.4 Lucidchart
Lucidchartは、シームレスな環境でのチーム共同作業が可能です。
内蔵されているテンプレートコレクションを利用して、作図することができます。Lucidchartを使用すると、複雑なモデリングを単純な図形ソリューションという小さなパーツとして単純化できます。
Lucidchartの特徴は以下になります。
- チームでの共同作業が可能
- シームレスな環境での作業が可能
- 内蔵のテンプレートがある
4.5 boardmix
boardmixは、無料でありながら多くの機能を備えており、オブジェクト図はもちろんさまざまな図の作成に適しています。
また、デフォルトで多くのテンプレートが用意されており、簡単に早く作図ができます。オンラインホワイトボードにより、メンバーで共同での編集や閲覧が可能です。
boardmixの特徴は以下になります。
- 無料で使用可能
- テンプレートなど優れた機能性
- オンラインホワイトボードを使って共有が可能
- わかりやすいシンプルな設計
- 直感的な操作性
5.まとめ
本記事では、オブジェクト図の書き方と作成手順を紹介してきました。内容をまとめると以下のようになります。
- オブジェクト図とは、UMLで規定したオブジェクト間の関係性を表した図のこと
- オブジェクト図は、クラス図よりも、より複雑なシステムの理解に役立つ
- ツールを使うことで、より簡単にスピーディーに作図ができ、チームでの共有も可能
オブジェクト図は、システムの理解には欠かせない図です。ツールを使いスピーディーに作図でき、メンバーで共有することで、チーム全体の理解度が増します。ぜひ参考にして、優れたオブジェクトを作成してみてはいかがでしょうか?