導入部
世の中にはさまざまな業務があり、それぞれ重要視する要素は異なります。ゆえに一言で「ビジネス戦略のために業務の分析を行う」といっても、画一的な視点では有効な分析結果を得られない可能性があります。そこで今回は、シチュエーションごとに有効と思われるビジネスフレームワークを紹介します。フレームワークを活用し、最適なビジネス戦略を構築しましょう。
ビジネスフレームワーク
1.ビジネスフレームワークとは
ビジネスフレームワークは単純にフレームワークとも呼ばれます。フレームワークは「枠組み」「骨格」「構造」などの意味をもつ英単語で、議題となる案件を整理・分析するために使用される特定の構造や思考手順の総称です。ビジネスフレームワークは、個人や企業などが体験した実例をもとに構築されています。つまりフレームワークを活用すれば、過去の成功体験をもとにした考察や分析が可能となるのです。
またフレームワークは脳内のイメージやアイデアを図や表などで視覚化できるため、情報の整理だけではなく、他者への説明や共有を容易にします。特にプロジェクトを管理するマネージャーやリーダーにとっては、欠かせない手法といっても過言ではありません。
2.ビジネスフレームワークのメリット
ビジネスフレームワークは、イメージや情報などを視覚化できます。そのため、以下のようなメリットがあります。
・情報を整理できる
・多角的な視点を持てる
・チーム内での共有が容易
・プレゼンやコンペ、会議などで活用できる
・実作業の効率がアップ
フレームワークは、プロジェクト開始前、施行中、完遂後まで幅広く使用できます。それぞれの特徴をふまえ、有効に活用しましょう。
3.新規プロジェクトとビジネスフレームワーク
新規のプロジェクトを始めたくても、経験がないとどのように進めて良いかすらわからない…そんな時は、ビジネスフレームワークがおすすめです。前述したように、フレームワークは過去の成功体験から構築されたものです。そのため、たとえ未経験の分野でもフレームワークに当てはめれば、プロジェクトの方向性や進め方を導き出すことができます。
おすすめビジネスフレームワーク12選
【ビジネスモデル】
ビジネス戦略を組み上げる際に、プロジェクトを成功に導くためのプロセスに誤りがないか、方向性が間違っていないかを検証することはとても重要です。それらを検証するためのフレームワークとして、「ビジネスモデルキャンバス」と「リーンキャンバス」があります。
1.ビジネスモデルキャンバス
ビジネスモデルで重要とされる要因を、9つの項目にまとめ、検証を行うためのフレームワークはビジネスモデルキャンバスです。それらの項目は「協力者」「活動」「リソース」「価値提案」「顧客との関係」「チャネル」「顧客セグメント」「コスト構造」「収益の流れ」に分類されます。
2.リーンキャンバス
リーンキャンバスはビジネスモデルキャンバスによく似ていますが、ビジネスモデルよりもスタートアップに適していると言われています。
【顧客分析】
ビジネスにおいて最も重要視すべき「顧客」を分析するフレームワークも存在します。その中でも、特に利用される「ジョブ理論」と「ペルソナキャンバス」を紹介します。
3.ジョブ理論
ジョブ理論とは顧客の本質的なニーズを探るフレームワークです。「ジョブ(仕事)をこなすために商品を購入する」という考え方で、顧客のニーズを分析します。
4.ペルソナキャンバス
ペルソナとは、プロジェクトのターゲット(購買者)を「性別」「年齢」「趣味」「職業」「収入」などさまざまなカテゴリーで表現したものです。ペルソナキャンバスは、そのペルソナを構築するために利用されるフレームワークです。
【マーケティング戦略】
顧客を分析した上で、企業が取り組むべき戦略を導き出すワークフレームです。「STP分析」と「カスタマージャーニーマップ」を紹介します。
5.STP分析
ターゲットを明確にするため、「セグメンテーション(市場の細分化)」「ターゲティング(狙うべき市場)」「ポジショニング(自社の立ち位置)」で市場と顧客、自社の分析を行うフレームワークです。
6.カスタマージャーニーマップ
顧客が自社の商品やサービスの存在を知り、購入するまでのプロセスを分析するためのワークフレームです。
【市場環境分析】
商品を市場に流通させても確実に利益が出るとは限りません。市場には多くの競合他社・競合商品があり、時に社会情勢などが顧客の購買欲に影響を与える可能性もあります。自社のみではなく、競合他社や外部要因からの視点で分析するフレームワークとして「5フォース分析」と「3C分析」を紹介します。
7.5forces(ファイブフォース)分析
5つの外部環境を分析するためのフレームワークです。自社商品を多角的に分析することが可能で、競合商品との差別化をはかることもできます。
8.3C分析
3C分析とは、「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つの要素で分析を行うフレームワークです。顧客のニーズ、自社の強み、競合相手を相対的に分析できます。
【その他のワークフレーム】
9.BSC(バランススコアカード)
「財務」「顧客価値」「業務プロセス」「(人材の)学習・育成」の4項目からプロジェクトの目標、ビジネス戦略などを考察するワークフレームです。
10.MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)
一つのプロジェクトに限らず、企業全体の方向性を定義するフレームワークです。MVVを設定することで、各々のプロジェクトで目指すべき方向性も決まります。
11.MVPキャンバス
MVPとは「Minimum Viable Product(必要最小限の機能をもった製品)」の略です。MVPを活用し、顧客のニーズを検証しながらプロジェクトを進めるのがMVP開発です。その検証内容を明確化できるのがMVPキャンバスです。
12.バリューチェーン
バリューチェーンとは「価値連鎖」という意味です。企業におけるそれぞれの事業が、最終的に価値を生み出すまでのプロセスを一連の流れとして把握するためのワークフレームです。自社の強みなどを考察することができます。
ビジネスフレームワークのテンプレートを無料で使えるBoardMix
BoardMixはクラウドを利用し、リアルタイムでの情報共有・共同作業を可能にしたツールです。多彩なテンプレートやアイコンがあり、様々な状況に合わせ効果的な図を作成することができます。BoardMixは基本無料で使用できるため、初めての方でも安心して始めることができます。
テンプレート(一例)
ビジネスフレームワークを学ぼう、おすすめ書籍4選
1.ビジネス・フレームワーク
ポケットサイズで持ち運びやすい書籍です。ネットで検索するよりも迅速に、目的のワークフレームを確認できます。
2.できる大人の問題解決の道具箱
ビジネスフレームワークの解説だけでなく、社会人としてさまざまな問題に対しいかに行動すべきかが学べます。
3.フレームワーク使いこなしブック
「経営革新の推進機関」と名乗る日本能率協会から出版された書籍です。フレームワークの使い方を、わかりやすく解説しています。
4.ビジネスフレームワーク図鑑
タイトル通り、さまざまなビジネスフレームワークをまとめた書籍です。ビジネスにおける諸問題に対する有効なフレームワークが解説されています。
まとめ
紹介したもののほかにも色々なビジネスフレームワークは存在し、それぞれに特徴や適したシチュエーションがあります。有効なフレームワークを使い分け、時には併用しながらビジネス戦略の立案や構築に役立ててみてください。