導入部

例えばファッションなどのデザインを他者と共有しようと考えても、文字や言葉だけで伝えるには限界があります。そんな時に活用できる手法の一つがムードボードです。ムードボードを使用し、アイデアの共有やプレゼンテーションなどに活かせば、よりイメージに近い完成図に向かい、メンバー一丸となってプロジェクトを進めることができるでしょう。今回はムードボードの作り方や活用のポイントを紹介します。

ムードボード-1

ムードボード 

1.ムードボードとは

ムードボード(Mood Board)とは、主にファッションやインテリア業界で使用されている手法です。画像やテキストなどを一つの紙面に掲載(コラージュ)し、デザインやアイデアを可視化させることで他者との共有を容易にしたもので、特にプレゼンテーションや会議の場で活用されています。ムードボードは発想(イメージ)を二次元的表現に落とし込んだものとも言えます。

2.ムードボードの活用法

ムードボードは、ファッション以外にWebデザインなどにも活用できます。Webサイトを作成する前にアイデアを視覚化して、イメージを擦り合わせることが可能です。またプロジェクトメンバーなどと完成図を共有することで、デザインに対する意見を募り最適化をはかることもできます。

ムード ボードの作り方と構成要素

1.ムードボードの具体的な作成方法

ムードボードの作り方は一つではありません。下記に解説する方法も、さまざまな作成方法の一つでしかありません。経験を積むことでデザイナーにとって表現しやすい方法、受け手にとって理解しやすい方法を見出し、ブラッシュアップしていきましょう。

 ①イメージを具体的に表現できる画像を探す

Web上には様々なフリー素材があふれています。その中から、イメージしたデザインに合致した画像を探すのが最初の作業です。フリー画像を扱っているサイトは多くあり、自身の環境と照らし合わせ、画像数や無料・有料などの条件から適したサイトを選びます。使用前に、必ずサイトの利用規約を確認しましょう。場合によっては、著作権の侵害になってしまう可能性もあります。

次にイメージしたデザインを表現するのに適したキーワードを検索します。検索した画像から利用できそうなものをダウンロードしましょう。この時点で、可能な限り画像を保存しておくと後の作業がスムーズに行えます。

サイト内で見つからない場合は、Googleなどの検索エンジンから直接キーワードを検索するのも一つの手です。その場合、直接画像を保存するのではなく、画像を掲載したサイトへ移動して利用できるかを確認しましょう。

キーワードは直接的な単語でも抽象的な言葉でも検索可能ですが、サイトによっては一日に検索する回数が制限されているもの(無料プラン)もあります。経験を積みながら効果的なキーワードを選択できるようにしていきましょう。

②画像をグループ分けする

可能な限り画像を収集したら、次に色彩や雰囲気の近いものをグループ分けしていきます。ただただ乱雑に画像を貼り付けるよりも、まとまりのあるレイアウトにすることでイメージを正確に表現することができます。

具体的に、インテリアであれば使用目的や使用エリア、ファッションであればデザインの傾向や色などでわけると効果的です。

③グループにタイトルをつける

画像のグループ分けをしたら、それぞれにタイトルを設定します。タイトルが適切かつ明確であればあるほど、情報を正確に伝えることができます。あくまでムードボードはイメージを視覚化し、客観的な考察やアイデア共有をすることを目的としているため、見る者にとって「わかりやすい表現」はとても重要です。

2.ムードボードの構成要素

ムードボードはイメージを視覚化したもので、使用する要素は画像とテキストのみとは限りません。イメージを正確に伝えるためならば、構成要素を限定する必要はないのです。

一例として、テキストのフォントもイメージを表現する要素と言えます。フォントを変えるだけでも、見る者の印象を変えることが可能です。さらに、ロゴやテクスチャなどを効果的に使用すれば、より良いムードボードを作成することができるでしょう。

場合によっては、付箋などを使い、メモを貼り付けて説明を補足するのも効果的です。

ムードボードの作成ポイント

前述したように、ムードボードの作り方には「こうでなくてはならない」という決まりはありません。しかし、より効果的なムードボードを作成するために注目すべきポイントがあり、これらのポイントを押さえることで精度の高いムードボードを作成することができます。

1.何をデザインするのか

何をイメージし、なぜこのようにデザインするのかを明確にします。「若い女性向けの衣服を制作する」「自社製品用のWebサイトを開設する」「二世帯向けの住宅をアピールする」など、デザインする目的をハッキリさせることで、より具体的な完成図がイメージできます。完成図が明確になれば、ムードボードの作成もスムーズに行えます。

2.画像やテキスト以外の要素

「ムードボードの構成要素」でも紹介したように、ムードボードは画像とテキストだけで構成されるわけではありません。例えばテキストによってフォントの種類を使い分けることで、テキストを視覚的に分類することができ、内容をより正確に伝えることが可能です。他にも、ボードを色で分ける、簡易なイラストを添えるなど、ムードボードを作成する上で使用できる要素を積極的に使ってみましょう。

3.ムードボードは複数あっても良い

一つの目的に対応する完成図が一種類とは限りません。その場合は、それぞれのアイデアごとにムードボードを作成してみましょう。また、同じ完成図に対し複数のムードボードを作成するのもおすすめです。プロジェクトを達成するためには、あらゆる視点から完成図やプロセスを解析し最適解を導き出す必要があります。ムードボードが複数あれば、それだけ多くの視点で考察ができるのです。

4.ムードボードを更新する

プロジェクトを管理する他のフレームワークも同様ですが、作成したムードボードは完成後も修正・調整を重ねることが大切です。プロジェクトを進行する際には予想だにしないトラブルが発生する場合があり、軌道修正を余儀なくされることもあります。時には当初のアイデアを微調整したいと思う場合もあるでしょう。そんな時は適宜ムードボードを更新し、プロジェクトメンバーと情報を共有します。常にムードボードが完成図、つまりゴールを正確に指し示すことがプロジェクトの成功にもつながります。

無料ツールBoardMixでムードボードを作成

BoardMixはクラウドを利用し、リアルタイムでの情報共有・共同作業を可能にしたツールです。多彩なテンプレートやアイコンがあり、さまざまな状況に合わせ効果的な図を作成することができます。BoardMixは基本無料で使用できるため、初めての方でも安心して始めることができます。

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https://boardmix.com/

・新規のホワイトボードを開きます。

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・作成するムードボードに適したテンプレートを選択します。

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・各グループにタイトルを記入し、画像を貼り付けテキストを書き込みます。

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イメージしたデザインに近付けられるように、画像などを入れ替えながら練り上げましょう。

まとめ

昨今ネット上にフリー素材や無料画像が多数存在し、手軽にムードボードを作成できるようになっています。チーム全員で同じゴールを目指すことが、プロジェクトを成功に導く第一歩です。アイデアの視覚化、そしてイメージ共有のためにもムードボードを積極的に活用してみてください。