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あおい
あおい

投稿日 2026年10月08日, 更新日 2026年10月08日

A3による問題解決では、変更に至る考え方を見えるようにします。今、何が起きているのか。目指す状態との差は何によって生まれているのか。提案した対策はなぜ役立つのか。一枚の報告書を埋めても、これらがつながっていなければ活用できません。

根拠と変更案は、チームで課題を整理するオンラインホワイトボードに並べて話し合いましょう。ここでは、必要な情報が足りない、または曖昧なため、日程調整担当から受付担当へ依頼が繰り返し差し戻される研修チームを例に考えます。

研修依頼が引き継ぎの途中で行き来し、A3に問題、根拠、原因に対応する変更案を結び付けた図。
A3では、観察した引き継ぎの問題と、試す価値のある変更をつなげます。

用紙を埋める前に問題を捉える

Lean Enterprise InstituteのA3の説明では、A3を単なる用紙として扱っていません。現状、分析、対策、責任、結果の根拠をまとめ、関係者が問題解決を進めるプロセスとしています。

複数の部署から依頼を受ける研修チームを考えます。受付担当が依頼を記録して日程調整担当へ渡し、調整担当が講師を割り当て、日程を決めます。しかし、希望日が承認済みか、誰が研修を受けるのか、質問に答えられる人は誰かが分からず、受付へ戻る依頼があります。

「もっと良い依頼フォームが必要だ」は、すでに解決策です。正しいかもしれませんが、問題の説明にはなっていません。まずは、提出された一部の依頼では、受講対象者、日程の確定状況、判断できる連絡先が不明なため、調整担当が講師を割り当てられず、追加の引き継ぎが発生していると捉える方が役立ちます。

対象は、一つの研修サービス、受付から日程調整への引き継ぎ、定めた期間など、観察できる範囲に絞ります。「組織全体のコミュニケーションを改善する」では、A3で取り組む実用的な境界がなくなります。

少数の依頼記録で現状を示す

現在の流れを「依頼を受ける → 受付が詳細を整理する → 日程調整担当が確認する → 講師を割り当てる」と描きます。日程調整から受付へ戻る矢印を追加し、なぜその経路を通ったのかを記録します。

次の記録例は、どこまで具体的に情報を残すかを示したものです。対策を選ぶ前に、対象サービスで実際に観察した記録に置き換えてください。

依頼例日程調整担当が受け取る情報差し戻す理由調べる問い
R01日付は入っているが、承認状況が書かれていない。講師を確保してよいか判断できない。日程は確定していたのに記録されなかったのか、まだ承認待ちなのか。
R02「チーム研修」とあるだけで、受講対象者が分からない。適切な講師を選べない。受付は対象者の情報を受け取っていたか。その情報はどこに保存されていたか。
R03依頼内容はそろっているが、日程の競合を解決できる人が書かれていない。受付を介して確認を戻すことになる。誰が判断できるか。日程調整担当から直接連絡できるか。

依頼件数と確認の発生回数は分けて数えます。一件の依頼が三回戻った場合、影響を受けた依頼は一件、差し戻しは三回です。混ぜて数えると、報告者によって問題の大きさが違って見えます。

返答を待つ時間と、依頼を確認する作業時間も区別します。引き継ぎにかかる経過時間が長くても、調整担当の作業が長いとは限りません。情報が不明確な場合と、処理待ちが積み上がっている場合では、必要な対策が異なる可能性があります。

原因と、もっともらしい説明を分ける

チームはすぐに、「依頼者が不注意だ」「受付担当への研修が足りない」と結論づけるかもしれません。しかし、仕事を調べずにそう考えるのは早計です。差し戻された依頼を、最初の提出から、転記、メッセージ、引き継ぎの順に追います。

R01には、少なくとも二つの原因が考えられます。日程は承認済みだったのに、受付が調整用のメッセージへ転記する際に情報を落としたのかもしれません。あるいは未承認なのに、日付が必須項目なので仮の日付を入れたのかもしれません。同じように見える記入漏れでも、原因は異なります。

考えられる原因裏付けとなる情報対応が変わる理由
引き継ぎ中に必要な情報が失われる。元の依頼には詳細があるが、日程調整用の情報にはない。依頼者に再び尋ねるのではなく、引き継ぎで情報を保つ必要がある。
意思決定の前に依頼が渡される。元の記録や会話でも、日程がまだ承認されていない。準備状況と仮の状態を見えるようにする。必須項目を増やすだけでは解決しない場合がある。
受付と日程調整で「準備完了」の意味が違う。両者とも現在の手順に従っているが、必要とする情報が異なる。どちらかを責めるのではなく、引き継ぎの条件を合意する必要がある。

Lean Enterprise InstituteのA3思考のガイドでは、問いを重ね、事実、問題、対策を筋道立ててつなぐことを重視しています。この例では、一度の会議ですべての枠を答えで埋めるより、引き継ぎを観察することが重要です。

原因に合う対策を選ぶ

引き継ぎを調べた結果、両チームの準備完了のルールが異なり、仮の日程と確定した日程を見分けられないと分かったとします。対応する対策は、日程調整に必要な情報を定義し、日程の状態を明示することです。

試行では、受講対象者、希望日と確定・仮の区別、競合が起きた場合に判断できる人を引き継ぎ情報に含められます。準備が整っていない依頼は、処理可能な依頼と同じ待ち行列に入れず、確認中と分かる状態にします。

これは、不完全な依頼をすべて断るという意味ではありません。日程が決まる前に相談が始まることは自然です。初期の相談と、講師を割り当てられる依頼を区別できるようにするのであって、フォームを送るために依頼者が答えをでっち上げる状況を作ってはいけません。

この案を、大がかりなシステムの入れ替えと比べてみましょう。新しいシステムでも、準備完了のルールが曖昧なままなら同じ問題を再現する可能性があります。現在のツールが必要な引き継ぎを妨げているという根拠がなければ、ソフトウェアの交換をA3の中心にする前に、明確にしたルールを試します。

試行方法と評価する項目を具体化する

誰が引き継ぎルールを管理するか、どの依頼を試行対象にするか、いつ結果を話し合うか、何が分かったら変更・中止するかを書きます。基準となる現状と、同じサービス範囲、同じ数え方を使います。

指標の一つは、引き継ぎ情報の不足や曖昧さを理由に差し戻された依頼の割合です。分子と分母を明示し、対象グループ・期間における該当依頼件数を、提出された全依頼件数で割ります。差し戻しの延べ回数は別に記録し、日程の判断までの経過時間も追います。

引き継ぎの手前も確認します。受付が依頼をいつまでも抱えるようになっただけで差し戻しが減ったなら、サービスは改善していないかもしれません。受付での待ち時間と、依頼を整えるために増えた作業を記録します。遅れが別の場所へ移っただけなのに、一つの局所的な指標から成功と判断してはいけません。

試行で観察結果が得られるまでは、結果欄を空けておきます。A3には「試行案」と書き、測定予定の項目を示せます。予測は対策案の横に置くもので、「結果」と書かれた枠に入れるものではありません。

BoardmixでA3の考え方を配置する

Boardmixのキャンバスの左側に現状を置きます。引き継ぎの流れ、戻る矢印、依頼記録を並べます。中央には原因分析を置き、それぞれの説明を、裏付ける情報や不足している情報につなぎます。右側には、選んだ対策と試行計画を置きます。

この研修の例では、不明確な日程の状態を「確定・仮を区別する」という案につなぎます。食い違う準備完了ルールは、共通の引き継ぎ条件につなぎます。すべての原因をすべての変更につなぐと、どの案がどの問題に対応するか分からなくなります。

BoardmixのA3キャンバスで、研修依頼の引き継ぎ記録を原因分析、準備完了条件の対策、結果未取得の試行計画につないだ例。
引き継ぎの根拠から対策案を導きます。試行の結果は、まだ確かめるべき問いとして残ります。

Boardmixでボードを開き、実際の受付と日程調整の例を持ち寄って話し合いましょう。必要に応じて依頼情報を匿名化し、A3の担当者を明示します。ただし、その人が関係するすべてのチームを指揮する立場だという意味にはしません。

後の試行で、内容が明確な依頼でも講師の空きがないため待っていると分かったなら、その発見を残します。次に調べるべき問題が変わるからです。A3に示すべきなのは、なぜチームの理解が変わったかであり、根拠を無視して最初の説明を守ることではありません。

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