購買申請の承認フローは、「これが必要」という申請から、判断の記録、購買担当への引き継ぎまでを整理するものです。分岐は承認・追加情報の依頼・否認の3つに分けると、次の行動が明確になります。必要な納期が書かれていなければ申請者に差し戻し、承認済みなら発注を担当する人へ渡します。この2つを同じ経路にしないことが大切です。

以下の例を参考に、Boardmixのフローチャート作成ツールで自社の流れを描いてみましょう。備品購入の記入例、各分岐の判断、共有ボードに転記できるワークシートを用意しました。この例は、承認済みの申請を購買担当が受け取るところまでを扱います。納品や請求書の支払いは、その後の調達プロセスで整理します。

備品の購買申請から追加情報の依頼、承認、否認へ分岐するイメージ
発注へ進む前に、申請に対する判断を明確にします。

何を承認するのか、フローの範囲を決める

ここでは、業務管理チームが新入社員用のノートPCを4台購入する架空の例を使います。申請者が必要な理由を説明し、予算責任者が購入を認めるか判断します。購買担当は、発注予定の内容が承認された範囲と一致しているか確認します。役割分担はこの例のものです。実際には、自社の担当者と権限に合わせてください。

対象範囲は申請の提出から、否認による終了、または購買担当による受け付けまでです。「承認」は、記録された範囲で購入を進めてよいという判断を指します。取引先が注文を受け付けたこと、機器が届いたこと、請求書の支払いが可能になったことを意味するわけではありません。

  • 申請者:仕様、数量、業務上の必要性、必要な納期、見積書をそろえます。
  • 予算責任者:購入の必要性、予算の状況、自分の決裁権限を確認します。
  • 購買担当:承認済みの申請を受け取り、取引先への発注予定の内容と照合します。

承認者が不在の場合の担当も、図を描く前に決めておきます。催促しただけでは承認にはなりません。返答がない状態を、いつの間にか「承認」の矢印へ進めないようにしましょう。

購買申請の記入例

以下は、必要な情報を補った申請番号PR-104・バージョン2の記入例です。見積書と金額は、この例のために設定した架空のものです。Boardmixの料金を示すものではありません。

品目・数量
新入社員用のノートPCを4台。各端末の仕様はメモリ16GB、SSD 512GB。
購入理由
新入社員4名に必要なため。貸し出し可能な端末は、すでに別の利用者に割り当てられている。
必要な納期
2026年11月16日まで。
金額・取引先の情報
取引先の見積書Q-204・改訂2。送料と適用税を含む総額4,000米ドル。
申請者・確認者
業務管理担当者が申請し、予算責任者を確認者として指定する。
承認範囲
PR-104・バージョン2のノートPC4台(各端末はメモリ16GB、SSD 512GB)。見積書Q-204・改訂2に基づく総額4,000米ドルで、2026年11月16日までに納品。

「ノートPCの購入を承認してください」だけでは、確認者が購入内容を調べ直すことになります。一方、契約書の全文を図に詰め込むと読みにくくなります。フローチャートには短い作業名を置き、根拠資料は該当する手順の近くにリンクや添付でまとめましょう。

承認判断を3つの経路に分ける

購買申請の確認後に、追加情報の依頼、承認、否認を別の経路で示したフローチャート
情報不足なら申請を修正し、承認なら購買担当へ引き継ぎます。否認なら理由を記録して申請を終了します。

1. 情報が足りない申請は申請者へ戻す

最初に提出されたPR-104・バージョン1には、必要な納期が書かれていませんでした。予算責任者は「いつまでに必要ですか」と質問を添えて、業務管理担当者へ差し戻します。担当者は「2026年11月16日まで」と追記し、上の記入例のとおりバージョン2に更新して再提出します。

この経路は「否認」ではなく、追加情報の依頼とします。購入を認めるかどうかは、まだ決まっていないからです。何が不足しているかを記録すれば、申請者は推測せずに修正できます。戻り先の矢印は「申請を修正」につなぎ、その後に再確認へ合流させます。

2. 承認された版を購買担当へ渡す

納期と見積書がそろい、予算責任者がPR-104・バージョン2を承認しました。承認内容は、メモリ16GB・SSD 512GBのノートPC4台を、見積書Q-204・改訂2の総額4,000米ドルで購入し、2026年11月16日までに納品することです。購買担当には、この申請と見積書に加え、承認の記録、承認者名、付帯条件を渡します。「問題ありません」というメッセージだけでは、どの数量や見積書が承認されたのか分かりません。

購買担当は発注予定の内容を、その承認範囲と照合します。取引先が別の仕様しか用意できない場合や総額が変わった場合は、自社の規程で必要となる確認へ戻します。元の判断を追跡できるように残し、内容が大きく変わった購入まで、元の承認で進めないようにします。

3. 否認した申請は理由を添えて終了する

予算責任者が、社内の適切な端末を再配分できると判断した場合を考えます。否認の経路では、その理由を記録して申請者へ通知します。自動的に再申請へ戻すのではなく、「申請を終了」で終えます。

申請者が後から別の案を出す場合は、その内容に応じた新規申請または変更申請を行います。否認は、現在の申請に対する判断です。追加の説明を求めている状態とは区別します。

そのまま使える申請・判断のワークシート

次の項目をフローチャートの横に置くと、簡潔な図と各担当者が必要とする情報を結び付けられます。

  • 申請:申請番号、バージョン、申請者、品目またはサービス、数量、仕様、業務上の必要性、必要な納期、見積書、使用する予算。
  • 判断:確認者、判断日、結果、承認範囲または否認理由、付帯条件。
  • 追加確認:不足している情報、その情報を用意する人、修正後に戻す確認工程。
  • 購買担当への引き継ぎ:受け取る人、受け取った申請のバージョン、関連資料、発注予定の内容が承認範囲と一致しているか。
  • 範囲の変更:変更内容、差し替え後のバージョン、進行前に必要となる確認。

PR-104なら、「メモリ16GB・SSD 512GBのノートPC4台、必要な納期は2026年11月16日」は申請欄、「見積書Q-204・改訂2の総額4,000米ドルで、バージョン2を承認」は判断欄、「購買担当がバージョン2と対応する見積書を受領」は引き継ぎ欄に記入します。分けて記録することで、情報待ちなのか、判断待ちなのか、購買担当の受け付け待ちなのかを見分けられます。

Boardmixで共有できるフローを作る

ボードを開き、3つの役割をキャンバス上に並べます。各作業は、それを実行する担当者の下に配置します。スイムレーンを使う場合も同じです。Microsoftのクロスファンクショナルフローチャート作成ガイド(英語)でも、各工程を担当する部門のレーンに置く方法が示されています。

  1. 主な作業を配置する。「申請を提出」「申請を確認」「判断を記録」「承認済み申請を購買担当が受け付け」の順に置きます。作業には長方形を使い、経路が分かれる箇所には判断を表す図形を置きます。
  2. 矢印に結果を書く。それぞれの経路に「追加情報」「承認」「否認」と記します。色を使う場合も、文字を併記して意味を伝えます。
  3. ワークシートを図の横に置く。まずPR-104の例を記入してみます。技術面の評価など、別の確認が必要なら、その担当者と確認後に返す情報も図に加えます。
  4. 1件の申請をチームでたどる。申請者は提出内容を、承認者は確認したバージョンを、購買担当は受け取った情報を説明します。説明が食い違う部分を、図上で修正します。

このボードは、手順を記録し、チームで話し合うためのものです。ボードを作るだけで決裁権限が適用されたり、注文が送信されたりするわけではありません。実際の承認や発注は、自社の購買システムと規程に従って行います。

Boardmixのワークスペースを開くと、自社の手順を描き始められます。レイアウトから選びたい場合は、フローチャートのテンプレート集も利用できます。

例外も分かるフローへ調整する

複数の承認が必要な場合:順番に確認するのか、並行して確認するのかを示します。全員の承認が必要なら、必要な判断がすべてそろうまで次へ進めません。権限を持つ1人の承認で足りるなら、その条件を明記します。購買担当へ向かう矢印を2本描くだけでは、条件が読み手に伝わりません。

承認者が不在の場合:権限を持つ代理者、または合意済みのエスカレーション先へ申請を回します。有効な判断が得られるまでは保留します。対応期限は実際の業務に合わせて決め、図の上だけで一律の時間制限を設けないようにします。

取引先の提示内容が変わった場合:新しい内容を承認済みの版と比較し、自社の規程で必要となる確認へ回します。「取引先が対応できない」ことが、そのまま代替品を自由に購入してよい理由にはなりません。

緊急の申請の場合:緊急時の正式な手順があるなら、通常の経路と分けて描きます。緊急性が高いときこそ、合意された経路を使い、判断の記録を残します。

承認までの流れが整理できたら、受け付け済みの申請を、その後の購買・調達プロセス(英語)につなぎます。納品の受け入れ、請求書の照合、支払いは、そちらの工程で明示します。こうすることで、各段階の「承認」が何を意味するのかを区別できます。